Production Notes3
『忌譚』終 幕:槐安の夢 昧爽の光
 忌譚シリーズ完結編。ここに至るまでに、結局足掛け3年の時間を有してしまいましたが、ようやくの完結にございます。本当にご迷惑をおかけ致しました。
 ご期待下さった皆様にご満足頂ける作品となっていれば幸いです。

 第6章の麟の素性に関してですが、実はあの発案者は初期キャラデザインをして下さった、辰巳さゐさんのお言葉から生まれ出たものでした。
 C68のPOP(トールケース版のジャケットです)を制作して頂いた時に、今後のストーリーを話していた所から産まれたものでして、そのため、伏線的にジャケットにそれにまつわるものが描かれております。ただのホムンクルスよりも面白そうだったので、アイデアの採用と相成りました。

 それから、今作品の淡島神に関する考察は、あくまでも僕の私説に他なりません。ですので、これを真に受けないで下さい。
 謎めいた女神である淡島神(伊邪那美息女)は、後に粟島神(天照大神息女)と同一視されてしまう女神です。常に流され続けた彼女は、いつしか祟神となり、その祟神の地位すらも天神様(菅原道真公)に奪われ、人々の記憶から消えてしまう。
 あまりにも強大な力を持っていたが故に、煙たがられた神だったのではないか? という推測を元に、流され、消された神々と同一の存在という説を立ててみたというものです。

 今回登場したクトゥルフ神話の神々をそれぞれ日本神話に強引に当てはめ、落し子同士を掛け合わせた存在として、淡島神を置いてみました。そうでもしないと、ラヴェル(ニャルラトテップ)と戦う神になれないので、強引な措置ですが神話ファンの方はご容赦下さい。

 ラヴェルに関しては、お気に入りのキャラクターとなりました。幼い男の子の姿を魔神というのが好きなんだなぁ……と、書いていて改めて思いました。
 当然の事ながら、ラヴクラフトたちが描いたニャルラトテップ(這い寄る混沌)の姿には、こうした幼い子の姿はありませんが、1000も姿を持ってる神ですので、ひとつくらいあってもいいかという事で、お願いします。
 今後の僕の作品の中には、きっとラヴェルのような幼い外見で中身は色々というのがいっぱい出てきそうな……。そんな事を考えるくらい、お気に入りのキャラです。

 なお、本作に登場したハイドリッヒが書いた詩編に関しては、存在しているらしいです。どういう意図があって書き残されたのかは、謎のままです。

 とりあえず、6パターンのエンディングを用意させて頂きましたが、ドレがトゥルーエンドという制作側の見解はしないで置こうと思います。
 やって頂いた皆様が、コレがトゥルーだ! と思って頂いたものがトゥルーエンドという事でいいかなぁ? と、書いているうちに思いました。
 ただ、麟ファンの方もぜひとも八重ルートを見て欲しいなぁと思ったりします。八重ファンの方は麟ルートをどうぞです。そうする事で、それぞれごひいいきのヒロインのいじらしさがより見えるかと思うのです。

 なお、終幕の損害率は、実際の世界各地のアレの損害と人口密度などを元に出した全被災地域の数字になり、緋坂市単体での数字ではありません。

 今回のタイトルである『槐安の夢 昧爽の空』ですが、【槐安の夢】とは「南柯の夢」あるいは、「槐夢」等ともいい、はかない事を表す言葉です。
 そして、【昧爽の光】とは、まだ明けぬ夜明け前の青闇の時をさす言葉になります。
 はかない希望となった光は見えるのか? という意味を込めて、付けさせて頂きました。
第6章のタイトルである、『倚門の望』は、望みを捨てずに帰らぬ人を待つという意味があります。深淵に堕ちた朔也を待つ麟たちの心境ですね。

 話は変わりましてコミケC72に参加していて思った事ですが、『忌譚』をご購入下さった方の3割〜4割くらいが女性の方だったというのが意外でした。女性受けする内容に仕上がっていればいいなぁとかと思ったり、破滅エンドの方は女性向け? とか、色々考えちゃったり妄想は止まりませんね。

 なにはともあれ、ようやくの完結となりました。結構、無駄にしたエピソードとかあるなぁ……とか思ったりしますが、それはまた、どこかで機会があったら発表という事で、まずは一連の物語の完結をお楽しみ下さい。

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