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Production Notes1
制作にあたって思った事、考えた事をつらつらとまとめました。 |
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前作のヴィジュアルノベル『緋の水鏡』の中で出し切れずに残った、自分の中に描いていた世界を全部書き出してしまおう。そうした意図を元に制作を開始したのが、本作『忌譚』になります。
今回の『忌譚』ですが、全3部作を予定しております。ですので、定期刊行のOVAを見るようなつもりで、生暖かく見守って読み進めて頂ければと考えております。各幕は、コミケに合わせて発表していく予定です。 一応、各話の構成も、テレビドラマ等の1クールを作るようなつもりで各話、各幕にヒキを置いています。ただ、制作のペースはこれが限界ですね。予定1年のお付き合いになると思いますが、ご容赦下さいますようお願い致します(期間が延びる可能性もありますが、それもご容赦下さい)。 メインタイトルが『忌譚』と地味目なのは、各幕のタイトルとなる、サブタイトルに重みを置こうかと考えこうした次第です。最初は、各サブタイトルと同じ、4文字+4文字のタイトルにしようとしておりました。 <『忌譚』第1幕:絶望の境 深淵の空>というのなら長くてもそれなりに見られると思うのですが、メインタイトルがやたら長くて、各巻のサブタイトルも長いのでは、アレかなと思った為です。 それぞれのサブタイトルや章題には、当たり前ですが意味があります。出来る限り造語は避ける傾向で行こうと思いますが、やむを得ぬ場合は造語にしてサイトでカバーしようと思います。変な言葉、聞き慣れない言葉の使用も多いので、そちらもカバーしていく予定です。 第1幕とかという言葉を使用したのも、最後の話を終幕としたかったからだけです。L'Arc〜en〜Cielの古い曲ですが『Finale』が好きなので、その歌詞に出て来る言葉を使わせて頂いたというのもあります。 『緋水鏡綺譚』という銘をつけていますが、これは前回制作した『緋の水鏡』(以下、前作版)を引きずっているというよりも、それより前に実施しておりました、PBM(プレイ・バイ・メイル)の『緋の水鏡』の世界観を活かした為です。いずれ、【緋の水鏡】というアイテムが登場する便宜上つけているだけで、実際には前作版もPBM版もご存知なくても問題のない作りになってます。 後は、大好きな広江礼威氏のコミック『翡翠峡奇譚』に音をかぶせたというのもあります。美女の川嶋芳子が出てきて打ち切りというのが切ないですね。 前作版の企画は、昔『くるみソフト』(TGL)から出す予定で没ったものをそのまま転用して活かしたものです。没った理由は制作費の問題と、最終的に指定された制作期間が、社の都合により実質2ヶ月ということからでした。内容の切り詰め等しましたが、どうやっても期間的に無理でした。 元々は今回登場した緋坂市という地方都市がそのままの舞台だったのですが、商業ゲームとする際に、短い制作期間ではエリア的に大きすぎるという問題があった為にスケールダウンして島になったのを、さらにスケールダウンさせたのが前作版です。 スケールダウンの連続が、結果としてシナリオの展開に色々と枷を生み出してしまい、お話の広がりを阻害してしまいました。離島故の排他的な関係とかを出せればよかったのですが、そのへんも色々な都合から出せませんでした(シナリオが出来てて没にしたシーンが多過ぎて、かなりもったいない思いがありました……。今さら、その原稿は使えないんですけどね)。 結局、あまり伝奇ホラーにならなかったなぁとかと自分としても反省。 また、クトゥルフ神話をベースとしながら、ほとんどその色を出せなかったのが最大の反省点。 今回は好き勝手出来るのをいいことに、昔の資料などを引っ張り出し、前作の没シーンのアイデアも拾えるだけ拾って、前作の反省点を活かしながら、初期の構想をそのままに、枷無しでの制作に踏み切りました。 話の構成的には、かなりオーソドックスなスタートとなりました。奇抜さを出してもよかったのですが、まぁ2作品目ということで、安定感を見せる為にも今の所は出だしは大人しく、暴れるのは中程でというつもりでスタートシーンを切りました。 お話の構成も、プロップの『昔話の形態学』(白馬書房)を参考にしながら、アニメや月9の連ドラ的な展開を織り込みつつ、かなり基本に忠実に進めてみることにしました。プロップの書籍に関しては、現在ほとんどの本が絶版ですが、鷹月ぐみなさんのサイトにて解りやすく解説されたものが載せられております。実際の書籍の方も学術書ですので、鷹月さんのサイトほど解りやすくは書かれてはおりません(現在、書店入手可能な本は『魔法昔話の起源/せりか書房』のみです)。 文体が3人称というサウンドノベルも、最近は多くなってきておりますので問題はないと思いますが、この文体を選んだ1番の理由は自分の中に、伝奇ホラーを描く上で1人称表現はかなり不向きなのでは? という思いがあった為です。 クトゥルフ神話系モチーフの一人称の物語にも見られるのですが、自分の足が喰われていくようなシーンで『ああ、今、俺の足が喰われていく』と描写してしまう辺り(しかもそれを手紙や日記に書き残しちゃってます)や、『奴がすぐそこまで迫っている』等というシーンで、僕としては解説はいいからさっさと逃げろよと突っ込んでしまうんですね。1人称でやたら細かく描写されればされるほど、細かい解説をする余裕があるなら逃げられるだろ! という感じです。ということは、自分でそうした文章を書くと、同じ突っ込みを入れる自分が出てくることになります。 細かい描写は伝奇ホラーでは命とも思えます。ですので、喰われるシーンとかで細かい描写は不可欠なんですよね。一人突っ込みをして悶えるならば、3人称で……ということになりました。主人公視点を中心にしておりますので、1人称視点とそれほど違和感はないかと思います。 劇中でイナゴの話とかが出てくるのは、PBM時代の資料に『イナゴジャム』という怪しげな食品が掲載されていた為です(ちなみに、この食品の発案は僕じゃありません。)。それがどうにも頭に残ってしまい、今回の作中話題に登場することになりました。八重ではありませんが、僕もイナゴは食べられません。イナゴ、ザザムシ、蜂の子が食べられる方ごめんなさい。 他にもショゴス・サンドだとか、モズバーガーのシュライクバーガーとか、ゲティーなものが資料として沢山残されてました。シュライクは野鳥のモズの事でして、どうやら生の新鮮なモズが使われているようです……。作品よりも、劇中のファーストフードのメニューの方がよっぽどホラーになってしまうので、これらの採用は見送りにしました。 劇中に登場した凶物に関して、絵として起こしてもらおうかどうしようか本気で悩んでいたのですが、こちらに関しては、敢えて絵にしないでみようということにしました。 クトゥルフ神話生物に関しては画集等も出ているのですが、絵として見た時、どうしても怖さが出ない気がしたのです(実際、画集の絵を見せて、可愛いと言われてしまったという事もありますし)。 背景と音、想像の切っ掛けとなる言葉を提供するので、その像を頭の中で組み立てて欲しい。その方が、実際に怖いのではないかと思い今回のようになりました。もっと別なやり方で実現出来そうな恐怖感の味わい方があった場合、そちらに移行していく予定です。とりあえず、この辺に関しては試行錯誤の状態です。 クトゥルフ神話に関しては、まったく知らなくても問題がないように作っているつもりです(本作がきっかけとなり、興味を持って頂ければ幸いです)。実際、知らなくても問題が無かった作品として、アリスソフトの名作『アトラク=ナクア』という前例がありますしね。クトゥルフ神話のファンの方には叱られない程度に、知らない方には敬遠されない程度に、クトゥルフ神話を作中に織り込んで行こうと考えています。 緋坂市の舞台が仙台近郊になったのは、PBM版の名残でしょうか。あの当時は遠野地方に興味があった為に、その近郊にしたかったというのと、純粋に東北地方なら妖しげな都市があってもいいのでは? という地域に対するとても失礼な思い込みがあった為です。今考えると、鎌倉辺りを舞台にしていれば取材も楽だったのにと思っております(充分に妖しげですし(これも地域に対して失礼ですね。済みません))。まあ、そこはそれ。始まってしまった以上は変更出来ませんしね。思う存分、妖しげな町にさせて頂きます。 主人公は、設定段階ではガンダムSEEDのキラ・ヤマトっぽくイメージしたのですが、書き出すとかなり違ってきてしまってました。役者のマイケル・ビーンやマイケル・パレ(誰それ? という方、済みません)が幼かった頃はこんな感じ? 的なイメージとかが諸々(成長すると、マイケル・キートンになるかな? みんなマイケルつながりだ)。結局、後ろ向きなのに前向きな所がある感じの主人公が出来上がってしまいました。まぁ、後ろ向き過ぎると鬱ゲーになってしまうので、そこはそれでよかったかと……。 ゲーム性という面に関しては、今のところ皆無ですね。まずはお話を楽しんで頂いて、そこから先に何か思いつくものがあれば、という感じではいます。インタラクティブ性に関して計画しているのは、いくつかの思いつくエンディングまでの道のりを、読者自身に選んで頂きたいというものでしょうか。ですので、これがトゥルーエンドという考え方を今回の作品では持っていません。バッドエンドですら、トゥルーエンドのひとつという考え方で進めて行きたいと思っております。 最終的にはお話を大きく分岐させて、いくつかのエンディングを設けるつもりでいます。3部構成でどうやって分岐させていくのかとか、色々と悩みどころではありますが、生暖かい目で最後まで見守ってやって下さいまし。 |